サイトの思い
障害をもっていたり、不登校だったりするなどで支援が必要なお子さんの保護者の方々は、子どもの興味やできることを伸ばしたいと思っていらっしゃっている方が非常に多いのですが、「子どもを受け入れてもらえるか心配」、「子どもが先生やお友達とうまくやっていけるか心配」ということで「ならいごと」へのハードルが上がってしまいます。さらに大人になってから障害があることがわかった方々、障害を負った方々こそ子どもより学びの情報が少なく、選択肢が少ない状況です。
また教室の先生方は「生徒さんが、言うことを聞いてくれていないように見えても大丈夫です」「間違った音を出して、怒ったり泣き出しても大丈夫です」と、そういった方々を受け入れている経験やキャパシティーがあり、才能を見つけてあげたい、一緒に伸ばしてあげたいという熱意をお持ちでも、支援の必要な方々となかなかつながらない、という現実があるのではないでしょうか。
コロナ禍で家での生活も増え、一人時間が多く持てたことや、Jpopの歌手や素人の方もYouTubeに楽器演奏の動画をあげ、それを見ることで音楽、楽器演奏に興味を持つ人も増えてきました。またオンライン授業の実施も広がり、受講の形態にも可能性の幅が広がりました。
答えが間違うと×になる数学などと違って、表現の幅のある音楽では表現力・感受性・自主性も伸ばせ、発達障害の人が苦手とされる模倣力もゆっくりと養うことができます。それがリラックスや自己肯定にもつながり、協調性や社会適応能力を養う力のひとつとなっていくことでしょう。モーツァルトも発達障害だったのではないかと言われていますが、障害を持つ方の中には感受性や表現力が優れている人も少なくなく、環境が整えばぐんと能力を開花させることができるでしょう。
また、人が育つには人との関わりがとても重要。
必ずしもレッスンで演奏しなくてもいい。弾かない、出来ない日があっても大丈夫。
何か好きになれるものを見つかったり、好きな場所や好きな人が増えることが生きる力になります。
社会との繋がりを持っていくための大切な場として、
輝く個性のある人たちを、温かく迎え入れてくださるお教室と、
ともに興味・能力・可能性を伸ばしたい方やその保護者様をつなぎたい、そんな思いでこのサイトを作りました。
お教室の先生方、経営者様へ
発達障害を持っていたり、何らかの困りごとを抱えて不登校になったりしているお子さんは、1クラスに2~3人はいるといわれており、グレーゾーンの子を含めると非常に多くなってきています。発達障害者の増加については診断基準が変わってきたこと、世の中の認知度が上がり受診率が増えてきたこともあります。ですので、みなさんのお教室の中でも、この子はもしかして当事者かもしれない?というお子さんを指導されている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、指導したいという思いはあっても、「障害者のある方も指導します」とご自身のホームページに大々的に広告すると、教室に違ったイメージがついてしまうとか、宣伝しただけのことができるのか自信がない、とためらいを感じるという指導者の声も聞きます。
「障害を持つ方を指導することは大変」というイメージをお持ちの方もまだまだ多いと思いますが、ピアノや音楽を20年指導してきた経験から述べると「とにかくまっすぐで、愛おしい。」のです。
困ることや生きにくいこともあるのかもしれないけれど、怒ったり泣いたりする姿も、まっすぐな心の現れだろうし、パニックを起こすのも、納得できないことをスルーはできない!と、自分をごまかすことができないのだろうと思うのです。障害のある方から教わること、気づかされることたくさんあります。
学校では「みんなと一緒」が求められる為うまくできない人たちも、教室に来ると個々の演奏ができるので、感性や個性が花開きます。芸術に対して、独特な感性を持っている子も少なくないですし、楽譜を大きく印刷してあげただけで急に譜読みが早くなった子、聴覚が過敏なことで音に対して繊細な優れた感性を持っている子もいます。
学校の勉強では「集中力がない」といわれていても、好きなことでは抜群に集中力を発揮できる子も非常に多いのです。
もちろん、やはり定型発達の生徒さんのレッスンのようにうまくいかないことはあります。時間もかかります。
しかし、そのときの悩みや経験は指導者としての引き出しを増やしてくれると思っています。
そしてみんながバッハやショパンを弾かなくてもいいのです。音を間違えるだけで泣き叫んでいた子が、きらきら星を両手で弾けるようになって、あがり症だった子が発表会のステージの上で一曲演奏できる。ほかの子にくらべるとゆっくりで小さなステップですが、自信に満ちた顔でステージを降りて親御さんのもとへ行くお子さん、それを嬉しそうに受け止める親御さんの姿を見ること、こんなことが私たち指導者への一番のご褒美です。
定型発達と言われる生徒さんの親御さんは、「指導は全部教室にお任せ、何を学んでいるかはよくわからない」という方も少なくないと思いますが、支援が必要な子の親御さんは手がかかるだけに熱心にお子さんをよく見ていらっしゃる方が多いです。その分「心配事や不安なこと」もたくさんお持ちです。
しかし私たち指導者の下で少しずつ変わっていくお子さんを見て、親御さんも少しずつ安心され、子どもの自己肯定感も上がっていき、社会に出て自立して生きていく自信の一つになっていきます。それは指導者にとっても大きな喜び、そしてやりがいになります。
ダイバーシティ、多様性という言葉は広く認識されつつあり、生きるために必要なものの選択肢も増えてきたように思いますが、「趣味や習い事」といった、生きるために必要不可欠ではないものの情報はまだまだ乏しく、これからです。
たとえ障害があっても「自分の好きなことができる」という世の中であれば、本人もご家族の皆様も笑顔が増えるのでは?と思います。
そして、「障害や病気」は決して他人事ではありません。
自分や自分の大切な人が当事者、当事者家族になることは十分に考えられます。
障害は環境や社会が作り出してしまうこともあります。障害の特性を備えていたとしても、寛容な社会で生きていく中で困り事がなければ、障害ではなく「少し違っていても、積極的に自分の思ったことが言える、できる」個性として当事者は自信をもって生きていけることでしょう。
「だれもが障害の有無に関わらず、自分の好きなことができる。」そんな素敵な未来がやってくるよう、
小さなステップを一緒に歩んでいただけませんか?
共感していただけるお教室、企業の方々につながっていただき、障害のない社会をつくる一歩になったら嬉しい限りです。
掲載ご希望の方はこちらから
サイトの管理者
山本 千景(やまもと ちかげ)
大学は声楽専攻でしたが音楽療法(※)を学び、卒業後は障害者支援施設や療養型病院で仕事をしながら障害者や高齢者に接してきました。
ピアノのレッスンを主とした音楽教室「Tutti音楽教室」を京都で開き20年。3歳から80歳を超える生徒さんが通い、コンクール入賞に向けて頑張る方、障害やご病気を抱えた方、それぞれに目標をもって音楽を楽しんでおられます。生涯、音楽を楽しめるように基礎を丁寧に、そして「だれにとっても、わかりやすく」をモットーに指導しています。
「障害のある人へのピアノレッスンの勉強会」を立ち上げ、関西圏のピアノの先生たちと勉強会も開催してきました。微力ですが「障害のない社会」を作る力の一つになりたいと思っています。
※音楽療法・・・音楽を聞いたり演奏したりする際の生理的・心理的・社会的な効果を応用して、心身の健康の回復、向上をはかる事を目的とする、健康法ないし代替医療。
障害(障がい)の表記について
トップページは「障がい」
そのほかのページは「障害」と表記しております。